音楽業界 VS 最先端ギャング
どこかの新聞の書評に取り上げられていて、書店の“書評に紹介されましたよ”的なコーナーで見つけた本書。表紙は見たことがあったけれど、タイトルからは“音楽の価値が下がった”的な論評かなぁ、と思っていました。でも、書評の紹介を読んで(具体的な文言は覚えてませんが)即購入。
で、一気読みしちゃいました。めっちゃ面白い!
公式の紹介文はこちら。
「なんでこのことを今まで誰にも話さなかったんだ?」
「あぁ、だって聞かれなかったから」
田舎の工場で発売前のCDを盗んでいた労働者、
mp3を発明したオタク技術者、
業界を牛耳る大手レコード会社のCEO。
CDが売れない時代を作った張本人たちの
強欲と悪知恵、才能と友情の物語がいま明らかになる。
内容は、レコードからCDに音楽メディアが移行し、データとして扱われるのが当たり前になるまでの時代の、レコード会社と違法アップロードをする“新時代のならず者”たちとの戦いを描いたドキュメンタリー。
メインの舞台となるのは2000年代。当時を知る人であれば、Winny、WinMXなどのファイル共有ソフトを通じて、音楽や動画が無料で手に入ったことを覚えていることでしょう。しかもそれが、発売前の新譜や公開中の映画まで、当時中学生くらいの私は“誰がアップしているんだろう?”くらいにしか考えていませんでした。で、かく言う私は、LimeWireを愛用していました(あ〜、懐かしい)。
CDのプレス工場に勤務し、発売前に音源を盗んでいた労働者の話。mp3という圧縮音声ファイルの形式が生まれた経緯。データ漏洩を防ぎたいレコード会社の奮闘記。
現代では音楽がデータとして取り扱われることは当たり前になりましたが、フィジカルとして扱われることがまだ常識の時代の、変革期を鮮明に映し出すスペクタクルです。
“姿の見えない”最先端のギャングたちと、商品価値を固守したい音楽業界との戦記ともいえる1冊(ホント、取材力に脱帽)──音楽ビジネスに興味がある方にとっては手に汗握る内容だと思いますよ!
誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち
著者 | スティーヴン・ウィット |
翻訳 | 関 美和 |
ページ数 | 368P |
定価(発売当時) | 2,300円(税抜本体価格) |
初版発行日 | 2016年9月25日 |
出版社 | 早川書房 |
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