『ウエスタン音楽入門』

歴史
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カントリー好き必読! “1960年代当時の”入門書

ハワイアンやカントリーが日本で流行した1950年代を過ぎ、ロカビリー・ブームが落ち着きを見せてきた1960年代前半に、日本で初めて“カントリー・アンド・ウェスタン”という音楽を体系的にまとめた本書。

当時最新だったカントリー・ミュージックも今やクラシックとなっていますが、マウンテン・ミュージックからヒルビリー、ブルーグラス、カントリー、ウェスタン・スウィングなど、時代の流れを丁寧に追いながら、ジャンルやスタイルなどをわかりやすく解説してくれる1冊です。

私が手にしたのは、第三刷の1969年版で、初版から少しアップデートされている模様。しかし、“現在(六十四〜六十五年)、最大の売れっ子スターになっているのが、バック・オウエンズです”という時代感なので、ベーカーズフィールド全盛の空気感を味わいながらオールド・カントリーからの系譜を学べます。

また各年のヒット曲や「ウエスタン・アーティスト百五〇選」、「本邦発売主要ウエスタンLP100選」といったコーナーに多くのページが割かれており、主要アーティストや必聴ディスクが知れるのも非常にありがたい!

著者である高山宏之氏の著書で私がほかに持っているものとして、『ポップ・ソングの英語 プレスリーからビートルズまで』(1974年/研究社)と『ポップス&カルチャー』(1990年/南雲堂)がありますが、どちらも“名曲から英語を学ぶ/愉しむ”というもの。

本書でも“カントリーは歌詞を楽しむのが良い”と書かれており、「ウエスタン名曲一〇〇選」ではスタンダード・ソングの歌詞対訳とその曲を演奏しているアーティストを紹介してくれます。

カントリー・ミュージックの長い歴史を、アーティストや時代ごとのぶつ切りではなく、流れで押さえることができる。さらに楽しみ方まで伝授してくれるという入門書として最高の1冊。

このあと1971年に三井徹氏が『カントリー音楽の歴史』(音楽之友社)を上梓されますが、これはかなりの本格派研究書といった内容。“昔のカントリー、ちょっと興味あるな”という初心者の方は、ぜひ本書からスタートしてみてください。

書籍情報
ウエスタン音楽入門
著者高山宏之
判型四六判
ページ数258P
定価(発売当時)460円
初版発行日1963年7月20日
出版社音楽之友社

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