アリサ・フランクリンやウィルソン・ピケットをプロデュースした、音楽界の重鎮が明かす、ブラック・ミュージックの歴史
現代のポップ・シーンにおいて、ブラック・ミュージックの影響下にないものはほぼ皆無と言って良いでしょう。ジャズやヒップホップ、R&B、ソウル──誰もがそのジャンル名を聞けば、多くも語らずともテイストをイメージできるはず。この中のR&B、すなわち“リズム&ブルース”という言葉を作ったのが、本書の著者であるジェリー・ウェクスラーです。
それまで“レイス・ミュージック=人種(黒人)の音楽”と呼ばれていたアフリカン・アメリカン向けの大衆音楽でしたが、西洋楽器を用いて発展した新しいスタイルをジェリーが“リズム&ブルース”と名付けました。
これは1950年のことで、ジェリーがビルボード誌に勤めていた頃のこと。
その後、アトランティック・レコードの創始者であるアーメット・アーティガンからの誘いで、同社のプロデューサーとしてアレサ・フランクリンやウィルソン・ピケット、オーティス・レディングをはじめとした数多くの“R&B”の金字塔を、アーティストたちとともに打ち立ててきた話など、貴重な証言が綴られています。
原書である『Rythm and the blues』は1993年が初版。私が持つ本書が発売された2014年には、ジェリーは鬼籍に入っています。
天才たちに良い仕事をさせる才能、良い音楽をマネタイズする才能、類稀なる“プロデューサー”であったジェリーを深く知ることができる1冊です。
ちなみに、本書を読んで楽しめた方には、アーメット・アーティガンの評伝『アトランティック・レコードを創った男 アーメット・アーティガン伝』もかなりオススメです。アーメットの評伝については、また改めてここに書かせていただこうと思います。
書籍情報
私はリズム&ブルースを作った
著者 | ジェリー・ウェクスラー/デヴィッド・グリッツ |
翻訳 | 新井崇嗣 |
判型 | A5判 |
ページ数 | 368P |
定価(発売当時) | 4,500円(税抜本体価格) |
初版発行日 | 2014年5月23日 |
出版社 | みすず書房 |
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